社会の変化と変わる消費行動:セミナーから考えた”これからの消費者教育”

1 セミナーを受けて感じた事
「SDGs時代の消費者志向経営」
というテーマに
興味を引かれセミナーをオンラインで
受講したのは12月初旬の事でした。

基調講演をされる方が”ヒーブ協会”の
会長をされた方というのも
印象深かったのは事実です。
ヒーブとは
”home economists in business”の
頭文字をとったモノ。
企業内で働く家政学科出身の
プロフェッショナルの事なんです。

今は私の母校のように名称が
生活環境などに変わり
学部名から”家政学”というのが
消えてしまった大学もあります。
でも在学当時は私は
この学部が大好きでした。

家政学部の中では
私が専攻したというか
第一志望の食物に落ち
まわされた生活経営学科は
歴史も新しく、
新しい事が出来る可能性に
あふれた雰囲気でした。

ただ歴史が浅いという事は
卒業生が少ないという事で、
どんな仕事につけるのかは
不安がありました。
なので
社会に出てから活躍している
先輩方を学校にお呼びして
在学している自分達の有志と
座談会を開こうという
企画が持ち上がりました。
その時に初めて聞いたのが
この”ヒーブ”という言葉です。

企業でバリバリ働く女性!
そのイメージは
すごく洗練されていて、
実際にお招きして
いらしていただいた卒業生の
先輩方も素敵でした。
九州の山奥から出て来た
田舎者にはまぶしかった!!

そのヒーブ組織の会長を
経験された方のお話です。
見逃すわけには行きません。
実際に伺ったお話は
時代を見据えたもので
刺激をもらう内容でした。

特に印象に残ったのが
”アフターコロナの新世界”に
ついてのコメントです。
「1/2OLDと1/2New」
私自身は
企業で仕事をした事はなく、
まして経営などに携わったのは
個人でやっていた
英語教室だけなので、
正確に理解出来ているかは
分かりませんが
次のような意味という事でした。

「これまでの経営者は
8割は今まで通り〈OLD〉で、
残り2割の新しいモノ〈NEW〉を
取り入れれば良かった。
これからは1/2〈半分〉新しいモノを
取り入れる必要がある。」

これは私達、消費者にも
大きな影響が考えられる事です。
さらに「過去が参考にならない」
「非接触の時代」などの
キーワードは
消費行動に大きな変化をもたらす
モノとなりそうです。

その講演の後は
(株)グリーの方からの
”持続可能な消費者教育”についての
お話に続きました。
高校生など社会に出る前に
ネットとどう付き合うかを
企業の方と一緒に
考える機会を持つ事の大切さを
痛感しました。

最後のお話は
「コロナ禍の消費者対応部門」
についてです。
当たり前の事ですが、
ステイホーム期間でも
消費者の購買行動は続き、
トラブルなどがあれば
当然消費者対応が求められます。

さらにSNSで個人が自由に
発信できる社会では
この消費者対応は
ある意味企業にとっての命綱。
企業の方から説明を伺い、
消費者とのチャネルの多様化に
驚きました。

かつては電話かFAXまたは
直接来社くらいしかなかった窓口が
アクティブサポートに様変わり。

コミュニケーションチャネルの
マルチ化の進行は
消費者自体が使いこなすツールや
アプリなどが激変した事を
示しているのだろうと思いました。

さらに、これも当たり前の事ですが、
消費者からアクセスがあった内容は
データとして保存され統計をとられ
とても詳細な分析が
行われる事がほとんど
ではないかと思います。

これにより、
次のマーケティング戦略が
決まってくる
大切なプロセスなのだろうと思います。
こう考えると私達消費者の行動は
とても大きな意味を
持つ事になります。

2 消費者の行動
これだけ企業が変化していく中、
消費者の行動は
どう変わっているのでしょう?

認知度の低かったUber Eatsは
もはや常識となり
非接触タイプの商品やサービスが
次々に開発・販売され、
ステイホームやリモートワークの
ストレス軽減から
ECやeコマースなどとも
呼ばれるインターネットを
通じた商品購入〈電子商取引〉が
大幅に増加しています。

この状況の中、
キャッシュレスはさらに進み、
電子決済はもはやなくてはならない
サービスなのだろうと思います。

ただ、
それは時代の流れの影響を受けて
その時々の取引の仕方やサービス、
商品を消費者が受け入れているだけ?
自分も含め、
受け身な印象があります。

さらに深刻なのは一時期
盛り上がったSDGsの中の
プラスチック廃止の動きが
ここに来て鈍った感じを
受ける事です。

プラスチック容器に入った商品
(特に食べ物)を多く見かけるように
なりました。
テイクアウトの限らずスーパーでも
やはり包装容器については
とてもSDGs達成に向けて
変化しているとは思えません。
そして消費者である私達も
「今は仕方ないよね。
こんな時だから。」
そんな気持ちで消費行動をしている
のかもしれません。
これは私自身の事でもあり
見直しが必要と痛感しています。

その中で環境問題対応を含め
SDGsの実現に向けて
地道な努力をしている企業も
あるという事を
消費者自身が自主的に動き
知る必要があるの
ではないかと感じます。

きれいごとかもしれませんが、
その上で”買い物は社会的投票”、
企業に対する応援の1票と自覚して
消費行動をしていくようにすれば
社会が大きく変わる可能性は
まだ残されてると思います。

3 これまでの学校での消費者教育
偉そうな事を
書き連ねて来ましたが
学校で理想の消費者の在り方を
生徒達と考えているのかと
問われれば
答えは「いいえ」です。

時間不足を
言い訳にしたくありませんが
どうしても知識の伝達が
優先となってしまいます。
消費生活分野は、
消費者としての意思決定
法律や機関の説明
消費者トラブルの実態と対策まで
内容が幅広いのが特徴です。

それらすべてを
丁寧に網羅する事は難しく、
一番知っておいて欲しい
”リスクヘッジ”つまり
「消費者トラブルに巻き込まれない
ようにするには」に
焦点をあてる事になります。
(あくまで私の場合はです。)

4 これからの消費者教育
ただ、これは春先からずっと
感じていた事ですが、
消費の現場や消費者の行動が
かなり変わって来た状況に合わせ
消費者教育も
新しい視点を取り入れ
”大きく変えていく
必要がある”という事。

これだけキャッシュレスが広がると
思いがけない抜け穴を
利用した消費者被害が
続出する可能があります。

ちょうど、携帯電話の普及期に
被害が増大した
”ワンクリック詐欺”の
ようなイメージです。

さらに非接触で
買い物のスタイルも激変します。

スーパーの中に網羅されたセンサーで
買い物カートに設置された装置
(何かのデバイス)で
自分で購入したものをスキャンしていき
レジは通り抜けるだけ。
決済手段をあらかじめ登録しておけば
指定の口座から
その時に買った金額が引き落とされます。

そして商品をスキャンする事で
その商品に紐づいた他の商品を
おすすめされるなどの
販売促進も行われます。

そして服やカバンなどのお店では
自分の分身の役割をしてくれる
アバターロボット(?)がいて
自宅にいながら、
まるでその場にいるような感覚で
買い物が出来るような実験も
始まっているようです。

外食産業のお寿司屋さんや
焼き肉屋さんでのロボットの導入も
めずらしい事ではなくなって来た今
私達の消費行動は
否応なく変化せざるを得ない時期を
迎えています。

その支払いがキャッシュレスとなり
デビットカードや
クレジットカード等の
電子決済ですべてが済むようになると
どんな課題はトラブルが出てくるのか
想像していく事が
必要かもしれません。

今、学校では
授業内のスマホの利用を
禁止している所が
多いかもしれませんが、
消費者分野では
eコマース〈電子商取引〉の体験を
早いうちからしておく事も
大事になって来そうです。

さらに金銭感覚の問題。
現金が動かず、
数字だけが動くのが
当たり前の社会で
生きる子供達に
どうお金の価値を
伝えていくかも
消費者教育では
大切になるかもしれません。

5 SDGsと消費行動
コロナで想定外の事が
起こった年とはいえ
気候変動などの地球規模の変化は
そのスピードをゆるめてはくれません。

いろいろ課題はあったものの
せっかく浸透してきた
シェリングエコノミーも
コロナ禍で衰退しているようです。

シェアリングエコノミーのような
新しい消費行動形式も今後
どうなるか分かりません。

SDGsに関連したエシカル消費の
意識も一部には浸透してきましたが
まだ広く普及しているとは言えません。

ストローが象徴的な使い捨て
プラスチックの問題も
それほど
取り上げられなくなっています。

このあたりの事は
アニマウエルフェアや
ヴィ―ガンなどの事も含め、
欧米との間に大きな意識のずれが
あるようです。

だとしたら、
せめて次の社会を担う
子供達には現状を知らせ
問題意識を持てるような働きかけが
不可欠だと痛感しています。

ただ、
知識や情報を伝えるだけでなく
子供達が自分事としてとらえ
真剣に考え、
何か行動を起こせるまでの
道筋を作る事。
これが何よりも大切と
再認識させてもらった
セミナーでした。

今はオンラインでいろいろな
お話を聞ける機会が増え
とてもありがたく思います。

ただ、
どうしても聞いた事で満足して
聞きっぱなしになるので
このnoteのような情報を整理して
まとめてアウトプット出来る場が
ある事はとてもありがたく思います。

これは自分の
覚書のようなモノで
まとまりのない文に
なってしまいましたが
こういうテーマに
興味をお持ちの先生をはじめ
どなたかのお役に立てれば幸いです。
〈終わり〉

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