教育の場での「アンラーニング」?:コーチング関連の研修で気づいた大切な事

1 コーチングの研修?
「これって、どんな事するんだろう?」
ふとした興味で参加した教育関係者向きのセミナーで、こんなに頭を悩ませる事になるとは思いませんでした。

自分達のコーチングの経験をグループや全体を通して語り、参加者がいろいろな視点からフィードバックをしていくというような形式の研修です。(個人的な解釈なので間違っているかもしれませんが…。)

参加されている方は教育関係者がほとんど。今年の3月に退職した私は、ちょっと肩身が狭い思いをしていたのですが、ちょうどマイクロスクールでのインターンが始まり、一応教育関係者の端っこに入れてもらえる事になり、安心して参加させてもらえるようになりました。

参加されている方々のコーチングの知識や経験は多分バラバラで、多様な方がいるからこその独特な場になっているように思います。

2 アンラーニング?
12月まで毎月2回の研修では、毎回テーマがあり、事前にそのテーマについて講師の方が作成した動画を視聴しておくという準備が必要です。そして、今回のテーマは”アンラーニング”。
前半に各自が直近1週間位で「コーチングっぽい」事をした経験をグループでシェアした後、後半は「新しいやり方をするためにアンラーニングした経験(出来れば成功体験)」を話し合う時間になりました。

私の参加したグループでは海外の学校で授業をされている方の補習校でのお話や支援学校での取り組みなど、いろいろな内容を聞かせていただきました。どれも内容を伺っている私には「まさに! アンラーニング」って思うのばかりですが、ご本人にとっては「これがアンラーニングなの?」という不安もあるようでした。

私自身は在職中に家庭科で取り入れた探究学習についての話をしましたが、では、その時に「何をアンラーニングしたか?」と問われると「え?」となってしまいます。

そもそも「アンラーニング」という言葉自体がよくわかっていないから。
ネットで調べると次のような説明が出て来ます。

「アンラーニング」とは、「学習棄却」と呼ばれ、これまで学んできた知識を捨て、新しく学び直すことを指します。 激しい環境の変化に対応するためには、新しい勉強を進めるだけではなく、従来の知識を捨てることも重要だとされています

確かに、今のような激変する環境に対応しようと思ったら”不可欠な事”。
その通りだと痛感します。でも実際にやるとなるとものすごく難しい。
特に教育現場では古くからの慣習やセオリーがあり、従来と違う事をやろうとすると、どこかから”横やりが入ったり” ”陰でいろいろ言われたり”
心身をすり減らす事が多かったからです。(これはあくまで個人的な経験ですが…。)

ですが、時代は転換期、この”アンラーニング”の考え方と実践が広まる事こそが子ども達の未来をひらいていく事になるのではないかと思いました。

3 インターンとアンラーニング?
この研修では「発信までが学び」という事で研修での気づきや考えをどこかでまとめ、アウトプットし研修に参加されている方に加え、いろいろな方とシェアしていくというのが特徴となっています。

日曜の夜に「アンラーニング」についての自分の経験を考え始めて、ふと気づいたのは、今まさにスタートした”マイクロスクールでのインターン”こそが「アンラーニング」だという事です。

ここで”マイクロスクール”という言葉を使っていますが、これはネットなどで調べると次のような意味になるようです。

「マイクロスクール 」とは、徹底した少人数制にテクノロジーを組み合わせることで、一人ひとりの子どもに高度に個別化された教育を提供する、世界基準の新たな教育システムです。
マイクロスクールとは、近所で声を掛け合い、誰かの家や施設で少人数で勉強したり子どもの世話をする寺子屋的グループを指します。徹底した少人数にテクノロジーを組み合わせることで、一人ひとりの子どもに高度に個別化された教育を提供する新たな教育のかたちといえるでしょう。
私がインターンをさせていただいているラーンネット・エッジというスクールは上の定義に当てはまるように思います。

そして、そこでの学びの展開は今まで学校で経験したものとは、まるで違い、”勝手が違う”事ばかりで戸惑いの連続です。
これこそが「アンラーニング!」そう気づいた時、とても晴れやかな気持ちになりました。

なぜならインターン開始の先週、「これからどうしよう?」と悩んでいたからです。4月から半年以上過ぎた時点で少人数のスクールで、人間関係が出来上がった場に入っていくのは予想以上に大変です。

それに加えて「これまでの学校の常識が通じない」というか、「どう行動していいか分からない場面が多い」のが悩みのタネでした。

でも、その悩みが深ければ深いほど25年以上の学校生活で染みついた学びの場での行動パターンや考え方を”アンラーニング”している事になります。これは願ってもない経験なのだと気づかされました。

4 日常でのアンラーニング?
ここまで学校や教育の場での”アンラーニング”について書いて来ましたが、
この”アンラーニング”の実践は教育関係者や学びの場に関わる人達だけでなく、今の時代を生きる人間、皆がしている事なのではないかと思います。

ニューノーマルと言われ、マスク生活や”三密”を避ける事、換気を十分にする事、”消毒をする事”などが当たり前になり、以前の人との距離感や関わり方を”アンラーニング”せざるを得ない状況になりました。

それは「いつか以前の生活に戻れるようになれるだろうから、今だけの我慢だ。」ではなく「この生活がスタンダードになるとしたら、その世界で少しでも心地よく暮らすために出来る事は何だろう?」という”コロナ禍以前の価値観や生活習慣のアンラーニング”を前提にして、これから暮らしや社会を考えていくという事なのだろうと思います。

5 まとめ
この記事では”アンラーニング”に重きを置いたので、お読みいただいた方の中には「で、コーチングの話はどこ?」となったかもしれません。詳細は省きましたが、グループでのアンラーニングについての対話も、全体での共有も、ただ誰かが一方的に自分の経験を話すのではなく必ず周囲の人からの”問いかけ”があります。

話をして下さる方の口調や表情、話の間隔や語気の強弱などから、何かを読み取り、本人でさえ気づいていないような内面的な事などを、その人のペースで場面を振り返りながら語っていただく。この事が「コーチング」と言えるのだろうと思います。

そのプロセスを場に居合わせた皆で共有させていただく事で、疑似体験であったり、自分との重ね合わせたりであったりを繰り返しながら、各自が自分の関わる場で感じた事や気づきを活かしていくのだろうと思います。

ここで書かせていただいた事は私の考えなので、違っている事もあるかもしれませんが、お読みいただいた方にとって何かのお役に立てれば幸いです。〈終わり〉

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