教員時代に知りたかった『ソース原理』〜仕事を抱え込む負担や不公平感が変わる考え方〜

家庭科の先生方を支援する取り組みをしている「みらい家庭科ラボ」のスタッフとして活動する私が、先日受講した「ソース原理1Day講座」についてお伝えしたいと思います。

この講座は教職員と教職員の支援団体を対象としたもので、特に一校一人配置が多い家庭科の教員のサポート活動をしてる自分にとって、とても有意義な内容でした。
「なぜ自分だけがこんなに大変な思いをしなければならないのか?」と感じている教員の皆さんに、きっと新しい視点をもたらしてくれると確信しています。
以下、講座当日に配布していただいたレジュメから「ソース原理」について生成AIを使ってまとめたものに、私自身の感じたことなどを付け加えてみましたので、ご覧下さい。

ソース原理とは何か?

講座でまず学んだのは、「ソース」という概念です。ソースとは、自分が引き受けたアイデアに基づいてイニシアチブを始めた人のことを指します。

ソースになる方法は基本的に2つあります:

  1. グローバルソース:新しいイニシアチブを自分で立ち上げる場合
  2. サブソース:他の人が始めたイニシアチブに加わる場合

ソースは、アイデアやビジョンを受け取り、それを実現するためにリスクを取り、次の具体的なステップを決定し、価値観とビジョンを尊重する役割を担います。

この概念の開発者は、チューリッヒ在住の英国人コンサルタント、ピーター・ジョン・カーニック氏です。彼は長年にわたり世界中の企業やコミュニティの起業家や創業者を調査・研究し、「なぜ組織の変革プロジェクトは失敗するのか」という疑問から、この原理を発見・開発しました。

ソースの3つの役割

講座では、ソースとしての役目を果たす3つの重要な役割について学びました:

1. 起業家

受け取った直感(アイデア、ビジョン)を実現するために行動を起こし、リスクを取り続ける役割

2. 案内人

イニシアチブを未来に向けて推し進めていくために、次に取るべきステップを常に明確にして伝える役割

3. 守護者

イニシアチブのDNA(ビジョン、価値観、フィールド)が尊重されていることを常に俯瞰で確認し続ける役割

これらのソースという概念と役割を知った時、この役割の明確化が、家庭科の先生方が学校で抱える仕事の負担感や不公平感を軽減するための解決策になるかもしれないと感じました。

ソースジャーニー:実践のプロセス

講座では「ソースジャーニー」という、ソースの歩みのプロセスを可視化したモデルも学びました。

7つのステージ:

  • ステージ0【準備】 価値観を明確にして生きる
  • ステージ1【コール】 アイデア、直感、ひらめきを受け取る
  • ステージ2【コールに応える】 リスクを取って一歩踏み出す
  • ステージ3【旅の始まり】 次の一歩を明確にして歩む
  • ステージ4【盟友たち】 レスポンシビリティを共有する
  • ステージ5【ドラゴンと向き合う】 ソースの病理への対処
  • ステージ6【帰り道】 自分と向き合い、全体性を取り戻す
  • ステージ7【次の旅へ】 イニシアチブの終わりとソースの受け渡し

これらのソースジャーニーは、激変する時代の中で、一校に家庭科教員が一人配置の学校が多い家庭科の先生方が何か新しいことを思いつき、始める時、またはそのプロセスにある時に、先に見通しを持つために必要な知識ではないかと感じました。

ところで、興味深いのは、ピーター・カーニック氏が「コールは受け取るもので、ソースパーソンがオリジナルで生み出すものではない」と言っている点です。つまり、私たちは何かを無から創造するのではなく、既に存在するアイデアやビジョンを受け取り、それを形にしていくのです。

このソースについて考えると、多忙な中で新しいことに触れたり、新しい場所に行ったり、新しい人達となかなか出会ったりすることが少ない先生方にとって、この状況はとても残念な環境かもしれないと感じました。自分自身が退職後に、いろいろな方と出会い、場に出向き、そこで様々なひらめきやアイデアをもらうことをたくさん経験してきたからです。「越境」の重要性を改めて確認出来た講座でした。

レスポンシビリティの新しい捉え方

また、講座で特に印象的だったのは、「レスポンシビリティ」の捉え方でした。従来の「責任」という重い概念ではなく、「response(応える)+ ability(能力)」として理解するのです。

つまり、レスポンシビリティとは「失敗の責任を取って辞職する」という外的な圧力ではなく、内発的な動機から生じる「応える能力」なのです。

ソースの病理と対処法

講座では、よくある問題行動についても学びました:

  • ソースの否定病:自分がソースであることを否定すること
  • ソースの暴君病:エゴが強すぎて介入し過ぎる状態
  • ソースの怠け者病:エゴが弱すぎて全く介入しない状態

これらの対処法は、「ソースであることを引き受けて、行動することを心に決める」ことです。

この3つの対処法を見ていくと、例えば、職場で何かのプロジェクト(修学旅行などの学校行事等)がうまく進んでいない場合などは、ここに原因を見出せるかもしれないと感じました。
これらを含め、ソース原理を学び始めたばかりですが、さらに深く学んでいきたいと思っています。
この1Day講座については、次のnoteの記事で、当日スタッフとしてお世話になった方がとても詳細にまとめて下さっていますので、ぜひ、ご覧下さい。

https://note.com/yuki0mori/n/na8608fa75b6c?sub_rt=share_sb

家庭科教員への応用:私の学び

この講座を通じて、特に家庭科教員の置かれた状況について深く考えさせられました。

一校一人配置が多い家庭科の教員は、「なぜ自分だけがこれほど大変な仕事をしなければならないのか?」と感じることが多いものです。自分の役割分担に線引きができなかったり、納得感を得ることができなかったりする教員にとって、ソース原理の考え方は必要不可欠だと感じました。

自分の関わり方を自分で選択することで、その仕事に割く時間や労力を決めて、バランスを取りやすくなると考えられます。

また、家庭生活においても、意思決定が必要な場面や長期にわたって取り組む必要があることに対して、グローバルソース・サブソース・エンプロイーという役割を自分自身が意識することで、ストレスが軽減し、自分の取り組み方が明確になり、気持ちが楽になるのではないかと感じました。

未来を担う子どもたちのために

講座の最後に投げかけられた問いは、とても印象的でした:

「未来を担う子どもたちのことを考えたときに、あなたが取った方がいい、あるいは、取るべきリスクは何だと思いますか?」

この問いは、私たち教育に携わる者にとって、常に心に留めておくべき重要な指針だと思います。

まとめ

ソース原理1Day講座は、単なる理論の学習ではなく、実践的で具体的な内容でした。特に教育現場で働く私たちにとって、自分の役割や責任を新しい視点から捉え直す貴重な機会となりました。

一人で抱え込みがちな家庭科教員の皆さんにとって、この原理は新しい働き方や生き方のヒントを与えてくれるはずです。自分がどのような「ソース」として存在し、どのように「レスポンシビリティ」を果たしていくか。この視点を持つことで、きっと教育現場での日々がより充実したものになることでしょう。

みらい家庭科ラボとしても、この学びを活かしながら、家庭科教員の皆さんの支援により一層力を入れていきたいと思います。


この記事は「ソース原理1Day講座」の学びを基に、みらい家庭科ラボスタッフの体験をまとめたものです。講座に興味を持たれた方は、ぜひ実際に受講されることをお勧めします。

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