初のハイブリッド研修を終えて〜繋がりから生まれる家庭科教育の新しい可能性〜

はじめに

暑い8月の午後、高校の被服教室に先生方の熱心な学びの声が響いていました。同時に、画面にはオンライン参加の先生方の映像が映し出され、リアルとオンラインが一つの空間でつながっています。みらい家庭科ラボとして初となるハイブリッド形式での研修「これからの家庭科を考える〜今を知り、未来を描く〜」が、無事に開催されました。

開始前の様子

学校を退職した元家庭科教師二人で始めた小さな組織である私たちが、現場でご活躍中の先生方から研修のご依頼をいただけたこと、そして「ラボ」の名に恥じない実験的な取り組みができたことを、心から嬉しく思っています。

挑戦への道のり

6月にホームページを通じていただいたご依頼から、研修当日まで約2か月。遠方での開催ということもあり、最初は躊躇しましたが、担当の先生とのオンライン面談を重ねる中で、この研修への想いが伝わってきました。

これまでの研修形態を伺い、オンラインでご参加の先生方もいらっしゃるとお聞きした時、「ハイブリッド形式」での研修については経験がないことも考え、不安もありました。
ただ、家庭科教師として長年現場を経験してきた私たちだからこそ、一校に一人配置が多い家庭科の先生方の「孤独感」や「つながりの大切さ」を誰よりも理解しています。物理的に離れていても、リアル会場の一体感を共有していただける研修を実現したい—そんな想いで企画に取り組みました。

研修当日〜新しい学びの形〜

前半:未来を見据えたビジョンの共有と授業観察・分析

研修は120分という限られた時間の中で、前半と後半の二部構成で進行しました。前半では、AIを活用した授業案作成の手法の紹介や「進化思考」の時空観マップを用いた授業観察・分析手法をご紹介し、ミニワークを取り入れました。これは、後半に家庭科の先生方が学校などで抱える課題について話し合っていただくグループワークへの準備の役割もかねています。共通の話題である「授業」をテーマに対話をすることでグループでの交流が深まることを期待してのものでした。

当日使用した資料の一部

今回は家庭科の先生方の多くが課題観を抱える〈家計分野の授業〉に特化して情報を共有させていただきました。生成AI「Genspark」を活用した授業案と授業プリントの作成過程の説明の後に、家計の授業のヒントして、「行動経済学」の代表的な考え方や金融デジタルの一部に取り入れられているナッジなどの説明もさせていただきました。

Gensparkについての参考サイトはこちらです。
https://www.skillupai.com/blog/ai-knowledge/about-genspark/

これらの内容については、アフターフォローとして、生成AIの活用の仕方や実際に授業案・授業プリントを作成する操作の過程を録画し、限定動画のリンクの提供をしました。また、家計授業のヒントについては、概要しか紹介できませんでしたので、LINEグループでのメンバー限定の情報シェアとして紹介させていただき、LINEにご登録いただければご覧いただけるようにしました。
このように、オンライン担当スタッフが全体に向けて講義を行った後、リアル会場とオンラインそれぞれで個人ワークに取り組んでいただきました。

ZOOMで説明しているオンライン担当スタッフ

事前に配布したAI作成の授業案やプリントを実際に手に取りながら、先生方が真剣にメモを取る姿が印象的でした。「こんな使い方があるんですね」「時短になりそう」といった声も聞こえ、新しい技術への関心の高さを感じました。

後半:現場の課題から生まれる実践プランニング

後半では、事前アンケートで集めた現場の課題を整理し、グループセッションを実施しました。

研修会場となった高校で進行をすすめる会場担当スタッフ

先生方からいただいた記述回答から、個人情報に配慮しながら個人が特定できないよう修正し、学校現場での家庭科教諭としての課題を事例として提起。「自分だけの悩みじゃなかった」「他校でも同じような課題があるんですね」といった安堵の声が聞かれました。

グループワーク用にご用意いただいたグッズ

リアル会場ではテーブルごとのグループワーク、オンライン参加の先生方とは、オンライン担当スタッフが入ったグループでワークを進めていただき、それぞれが抱える課題について熱心に話し合っていただきました。最後の全体共有では、各グループの代表者が実践的なアイデアを発表し、オンライン参加の先生方からも音声で貴重なご意見をいただくことができました。

また、後半のグループワークの最後に、会場スタッフから自身の公立高校での壮絶な体験談の共有もありました。オンライン担当として画面越しに体験談を聞きながら、家庭科は実習の準備や片付けなども含め、表面には出て来にくい仕事や多くあります。それを他の教科の先生方にご理解いただくことは、なかなか大変で、その苦労や大変さを分かち合える同じ教科の同じ立場の先生がいる職場も少なく、どうしても負担が大きくなり、いろいろなことを抱えすぎてしまう先生方への力強いエールだと感じていました。

そして、これからの家庭科の意義や役割、さらに家庭科は「時代の最先端を行く可能性のある教科である」という話にはエネルギッシュな思いを受け取っていただいた先生方もいらっしゃたことがアンケートから分かりました。

学んだこと、感じたこと

技術的な挑戦と成長

今回初めてのハイブリッド形式ということで、音響設備やカメラの設定、通信環境の確保など、技術的な課題は山積みでした。開始直前には音声トラブルも発生し、冷や汗をかく場面もありましたが、事前に準備していた限定公開の動画や複数台のPC待機などの対策が功を奏しました。

また、GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートを活用した担当の先生との情報共有は、離れた場所での研修準備において非常に効果的でした。これらの経験は、今後の研修運営における貴重な財産となりました。

つながりの力を実感

何より嬉しかったのは、参加された先生方が研修を通じて学びを深めていらっしゃったことです。リアル参加とオンライン参加、それぞれの形で積極的に取り組んでいただき、ハイブリッド形式ならではの新しい学びの場を実現できたように感じています。

家庭科教師として、私たちがずっと大切にしてきた「人と人とのつながり」を、研修という場を通じて表現できたこと、この活動の意義を改めて感じることができました。

これからに向けて

今回の研修を通じて、多くの課題も見えてきました。事前資料の配布タイミング、アンケートシステムの運用、画面共有の最適化など、改善すべき点は数多くあります。

しかし、それ以上に得られたものの大きさを感じています。退職後も家庭科教育に関わり続けたいという想いから始めた「みらい家庭科ラボ」が、現場の先生方にとって少しでもお役に立てたこと、そして同じ家庭科教師だからこそ理解できる現場の課題に寄り添った研修を実現できたことは、私たちにとっても大きな喜びでした。

こちらはスタッフ二人で、今回の研修について、研修で使用したスライド資料の一部を使いながら、振り返りを行った動画です。よろしければご覧下さい。

終わりに

事後アンケートはまだ集計中ですが、概ね好評をいただいているようです。「新しい視点が得られた」「他校の先生方と交流できて良かった」といった温かいお言葉をいただき、胸が熱くなります。

これからも「ラボ」の名に恥じない実験的で創造的な取り組みを続けながら、家庭科教育の未来を一緒に考え、支え合えるコミュニティづくりに貢献していきたいと思います。

ちなみに、今回みらい家庭科ラボとして初めて挑戦した〈ハイブリッド形式〉の内容について、NAPKIN AIで資料を作成したところ、このような資料になりました。この内容は将来的に目指す所で、まだまだこのような域には達していませんが、よろしければご覧下さい。
https://app.napkin.ai/page/CgoiCHByb2Qtb25lEiwKBFBhZ2UaJDY4NDAyZTY1LTE1YWYtNDc4Mi04ZmRmLTZkMDI4ZDEzZDAyZA?s=1

最後になりましたが、研修にご参加いただいた先生方、そして企画から当日の運営まで多大なご協力をいただいた担当の先生方に、心から感謝申し上げます。


みらい家庭科ラボでは、今後も様々な形での情報発信を予定しています。どうぞよろしくお願い致します。(終わり)

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